目指すは「肉食シニア」、元気な古希、喜寿、米寿は食から
カテゴリー:ブログ
投稿日:2019年02月18日(最終更新:2021年04月09)
自分史作成サービス「親の雑誌」では、60代から90代まで、全国各地650名を超える人生の先輩方のお話を聞いてきました。取材での話題作りも兼ねて日頃からシニア世代の方についてのニュースはマメにチェックしてるのですが、最近「肉食シニア」なるフレーズにであいました。
高度経済成長で肉食が浸透、団塊世代がシニア層に
厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、1日あたりの肉類の摂取量(平均)は70歳以上は66.3gで10年前の47gから1.41倍の増加、60代では83.9gで10年前の1.45倍になっているとのこと。ちなみに20代は123.7gと若い分摂取量は多いですが、伸びは1.16倍と小さく、シニア世代が肉類の消費拡大をけん引しているようです。
2019年2月9日号のリビング京都でもこの話題が取り上げられており、同誌面で京都ノートルダム女子大学現代人間学部の加藤佐千子教授はこの現象を以下のように分析しています。
❝「これは、団塊の世代がシニア層に仲間入りしたことが関係しています」とは、京都ノートルダム女子大学現代人間学部・教授の加藤佐千子さん。
「日本では、675年に肉食禁止令が出されています。仏教が伝わったことも影響し、長い間肉食文化が根付きませんでした」
変化が起きたのは1960年代。高度経済成長期に食生活が洋風化し、家庭の食卓に肉が登場し始めました。
「団塊の世代以降は、食教育が進みました。肉の栄養や調理法についても学び、日常の食事に取り入れるようになったのです」
たくさんの人が料理教室に通いだしたのも、この世代。洋食のメニューや作り方の情報が広まっていったのですね。
「近年は高齢者を含む幅広い世代が外食を楽しんでいます。ステーキ店、焼き鳥店など、肉を手軽に味わえる飲食店が増えたのも、〝肉好き〟増加の理由の一つです」
加藤さんは、歯の健康にも注目。
「しっかりと肉をかむには歯が大事。シニア層は口腔(こうくう)ケアに対して意識をしてほしいです。また、年を重ねるにつれ食が細くなると、筋力が減り足腰が弱ってきます。そこで役立つのが良質な肉類の摂取です。しっかりと食べ、栄養をとってもらえたらと思います」❞
シニアにうれしい肉食サービスも続々と
肉好きなシニアの増加を受けて、焼き肉店も魅力的なシニア向けの新サービスを打ち出しています。その中から、いくつかご紹介しましょう。
ペッパーフードサービス(東京都墨田区)が運営するステーキ店「いきなり!ステーキ」では70歳以上を対象にした「シニアカード」を作成しており、これまでの配布実績は約4万人とのこと。来店時にカードを提示することで、
1.アルコール類を含む飲み物1杯が無料
2.毎年敬老の日に1000円クーポン贈呈
3.誕生日特典としてステーキ300g(メルマガ会員登録が必要)
4.肉マネーチャージボーナス常時3倍
5.行列時は優先的に入店可能(同行者は1名まで可能)
といった特典を受けられ、お店も座って食べられる椅子席も増やしているそうです
■焼肉ダイニング ワンカルビ
テーブルオーダー制の焼き肉バイキング「ワンカルビ」では、50歳代、60歳代、70歳以上と年代別に段階的に料金の割引があり、95品食べ放題のコースは通常は3580円(税抜き)のところ70歳以上は2500円(税抜き)と1000円以上もお得になります。割引の効果で、来店客の3割以上がシニア層となっている店舗もあるそうです。
■京都 天壇(北山店)
京都に本社を置く焼き肉店「天壇」の京都・北山店では、土日祝限定で朝8時半開店でモーニング焼き肉を提供しています。シニア向けに限定したサービスではありませんが、開店と同時に席が埋まる様子を見ているとやはりシニア層が目立つそうです。シニア層の多くが注文するのが、国産の高級ロース肉にキムチなどが付いた、焼き肉「天壇朝御膳」1800円(税込)。髪の毛や洋服に煙のにおいがつかないように肉は厨房で焼いてから提供し、味付けも酢やしょうゆなどを合わせた「だし」でさっぱりと食べられるようにしたりと、お店側も朝から焼き肉を食べてもらえる工夫をこらしているそうです。
シニア世代の方々は肉よりも魚などあっさりしたものを好むのではないかと思いがちですが、最近のシニア世代には肉好きな方が増えているようです。誕生日や古希・喜寿・米寿などのお祝いでご家族で食事をされるときはもちろん、ランチやモーニングなど日常の食事でも、親御さんに「お肉食べに行こうよ!」と誘うことで親も子も孫も、笑顔で楽しい時間を過ごせるのではないでしょうか。
親の雑誌編集長 井戸洋希