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親の雑誌ブログ

親世代は先進的 70代以上の電子マネー利用額、5年で9割増

カテゴリー:ブログ

投稿日:2019年01月30日(最終更新:2021年04月09)

最先端のテクノロジーを使いこなすのは若者がメインで、高齢者は新しいものは苦手。子ども世代は、親世代に対してとかくそのような先入観を持ってしまいがちですが、実はそうでもないようです。
今回は、2019年1月29日付の日経新聞朝刊の記事をご紹介します。

70歳代以上の親世代はキャッシュレス決済に前向き

2019年1月29日の日本経済新聞朝刊に「電子マネー、高齢者に拡大 70代以上の利用額、5年で9割増 現金より安心感」という記事が掲載されました。
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記事によると、70代以上の高齢者の間でキャッシュレス決済が予想外に広がっているとのこと。日本経済新聞が総務省の統計データを基に算出したところ、70代以上の電子マネー平均利用額はこの5年間で87%も増えていることが分かりました。また、この伸び率は全世代の平均(58%)を上回る結果となっています。

「高齢者は現金へのこだわりが強い」という固定観念をくつがえすこととなったこの結果を、日経新聞では「使える金額の上限をあらかじめ設定できたり、現金を数えなくて済んだりするメリットがシニア世代に受け入れられている」と分析しています。

ポイントは安心感 子が親に利用を促すことも

一例として挙げられているのが、コンビニエンスストアのセブンイレブンなどで利用できる電子マネー「nanaco(ナナコ)」です。nanacoは一度に入金できる上限が5万円に設定されており、紛失時に利用を停止できる機能もあります。キャッシュカードを携行しATMで現金を引き出して買い物をするよりも安全性が高いと受け止められているようです。

また、年齢と共に視力や握力が低下する親世代は、小銭を確認し財布から取りだすことが難しくなってしまうもの。こうした場面でも、カードを使えば安心・安全な支払いができるようになることから、子が親に電子マネーの使い方を教えたり、一緒にカードを作ったりするのも有効といえそうです。

買い物の楽しさをプレゼントするのも親孝行のうち

この記事を読んで感じたのは、「親に買い物の楽しさをプレゼントするのも、子どもだからできる親孝行のひとつだな」ということです。

キャッシュレス決済が広まるのは今後の日本社会にとって歓迎すべきことだと私は考えており、これは私たちの親世代である高齢者の方々にもいえることだと思います。私は「親の雑誌」の取材などで多くの高齢者の方とお会いしてきました。年齢を重ねて認知機能が低下することでお釣りの計算や小銭を出すことがおっくうになり、買い物に後ろ向きになってしまう人が少なくありません。買い物というきっかけがなくなることで外出の頻度も減ってしまい、運動の機会や社会との接点も減ってしまうのです。

記事によると、親世代に電子マネーが広がっている理由は「プリペイドで安心だから」。高齢者の方を見ていると、クレジットカードでの支払いやスマホでの決済、アプリ課金などに抵抗を示している方は実に多いです。やみくもに新しいものに飛びつかず、慎重に物事を判断する姿勢には学ぶべきものがありますが、同時に子ども世代としては親にはいつまでも元気に外出してほしいし、自分の力で買い物を楽しんでほしいとも思います。

その意味でも、プリペイド式にしたり紛失時の利用停止手続きをわかりやすくしたりするなど、セキュリティ面での安心感が広がると、親世代にさらに爆発的に電子マネーが普及するかもしれません。

海外に比べて遅れているといわれる日本のキャッシュレス決済。デジタルに不慣れな高齢者はキャッシュレス決済が進むことで社会から取り残されるという意見も見られますが、実はシニア世代で電子マネーが急拡大しているという今回の報道は、日本の決済サービスのあり方にも一石を投じることになるかもしれません。

好奇心旺盛?活動的?「親の雑誌」で親の意外な一面を知る

自分史作成サービス「親の雑誌」は、現代の親孝行の形として「親に自分史作成をプレゼントする」ことをおすすめしています。親御さん宅に取材でうかがうと、親世代の好奇心やチャレンジ精神の旺盛さや、年を重ねても衰えることのない行動力に驚くこともしばしばあります。

便利なテクノロジーを使いこなすのも、実はシニア世代の方が得意だったりするのかもしれません。私たち子ども世代も、まずはキャッシュレス決済を自ら体験しその利便性を知って、親に「安心で楽しい買い物の機会」をプレゼントしたいものです。

株式会社こころみ代表取締役社長 神山晃男

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