何が違う?数え年と満年齢|古希・喜寿・七五三・厄年はどっちで数える?
カテゴリー:ブログ
投稿日:2025年08月05日(最終更新:2025年08月05)
『親の雑誌』の取材に伺うと、時々こんなお話を伺うことがあります。「数えで○歳になります」とか、「本当は12月30日生まれなんだけど、それだとかわいそうだと親が思ったんでしょう。書類上は1月1日生まれなんです」など。取材にまだ慣れていなかった頃は、「本で読んだことある!」と、新鮮な気持ちになったものです。
今回は、「数え年」と「満年齢」の違いや数え方、制度として切り替わったタイミングなどについて、わかりやすくまとめてみたいと思います。
数え年とは?
数え年は、かつて日本やアジア圏で使われていた年齢の数え方です。ちなみにお隣・韓国でも、2023年6月までは数え年が使われていたそうです。同年より「満年齢」の表記が法的に義務付けられました。
数え年では、生まれた時点を「1歳」とし、以後は元日(1月1日)が来るたびに1歳ずつ加算されていきます。つまり、誕生日ではなくお正月に年を取るという考え方です。
例えば、2023年12月20日生まれの赤ちゃんは、生まれた瞬間に1歳。そして、わずか12日後の2024年1月1日には2歳になります。また、2023年1月10日生まれの赤ちゃんも同様に、生まれてすぐ1歳、翌年の1月1日には2歳になります。
この数え方にはいくつかの背景があります。ひとつは「お腹の中にいた期間も命として捉える」という生命観。もうひとつは、お正月に「歳神様(としがみさま)」をお迎えするという伝統行事との関わりです。歳神様は一年の五穀豊穣や家内安全をもたらしてくれる神様で、人はみな、この神様から新しい魂を授かるとされてきました。この魂を「お年玉(御年魂)」と呼び、それを数えたのが「数え年」。ですから、家族全員が一斉に1歳年を重ねるという風習があったのです。
満年齢とは?
現在、日本で公式に使われているのが「満年齢」です。これは、生まれた日を「0歳」とし、誕生日が来るたびに1歳ずつ加算していく方式です。
たとえば、2020年8月4日生まれの子は、2025年8月4日に「5歳」になります。日常生活をはじめ、学校・医療・法律・行政など、すべての制度上でこの「満年齢」が使われています。
数え年から満年齢に切り替わったのはいつ?
日本で満年齢が正式に採用されたのは、1950年(昭和25年)1月1日です。この日に施行された「年齢のとなえ方に関する法律」によって、公的な場面では満年齢を使うことが定められました。法律では以下のように明記されています。<第1条 年齢は、出生の日より起算する。>つまり、生まれた瞬間を0歳とし、誕生日ごとに1歳ずつ年齢を重ねる「満年齢」が、法的な基準になったのです。
この変更には、以下のような理由がありました。
● 若返りによる心理的効果
戦後間もない時期、数え年から満年齢に切り替えることで見かけ上の年齢が若返り、日本人の気持ちを明るくする効果が期待されました。
● 正確な出生届の促進
数え年では、生まれてすぐ2歳になることもあり、出生届の提出をためらう家庭もありました。
制度を満年齢に統一することで、届出の正確性が向上する狙いがありました。
● 国際基準との整合性
世界的には満年齢が主流であり、数え年では国際的な交流や統計との整合性に欠けるという課題がありました。
● 配給制度の合理化
当時の配給制度では、カロリー計算に満年齢、実際の配給に数え年が使われており、不合理が生じていたため、これを解消する意図もありました。
今でも数え年が使われる場面
現代においても、文化的・儀礼的な場面では数え年が使われることがあります。
● 七五三
本来は、男の子は数えで3歳・5歳、女の子は3歳・7歳で行う行事ですが、最近では満年齢で祝う家庭も増えています。
● 厄年
厄年も伝統的には数え年で数えます。男性は25歳・42歳・61歳、女性は19歳・33歳・37歳が厄年とされ、神社などでの厄除け祈願でも、数え年での確認を求められることがあります。
● 長寿祝い
還暦(61歳)、古希(70歳)、喜寿(77歳)など、長寿のお祝いも、もともとは数え年で行うものでした。しかし、最近では満年齢で祝うケースも増えており、『親の雑誌』にも「満年齢の誕生日にプレゼントしたい」というお声を多くいただいています。
まとめ:数え年と満年齢、どちらを使う?
どちらも、それぞれの文化的・制度的な背景に基づく年齢の数え方でです。一般的には、公的な制度や日常生活では「満年齢」、行事や風習ごとでは「数え年」を使うことが多いようですが、「数え年」を使う機会は減っているような印象があります。「どちらで祝おうか?」と迷ったときには、ご本人の気持ちやご家族の考え方を尊重してみてください。
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