長寿祝いから考える、それぞれの年代で親が語ること
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投稿日:2018年07月17日(最終更新:2021年04月09)
長寿祝いで自分史をプレゼントする意味
「親の雑誌」は、親御さんの還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿などの長寿祝いのタイミングで申し込まれる方が多くいらっしゃいます。
一生の記念になりますし、プレゼントとして特別なタイミングに合わせるのはとても良いですよね。親御さんにもとても喜んでいただきます。なにより、子ども達が自分のことを大事にしてくれている実感がわくことが、親御さんの喜びにつながるように思います。
お祝いの場で、弊社がお送りしているプレゼントカードをお渡しいただく場合もありますし、お祝いの場に間に合わせる形で親の雑誌を制作して、その場で完成品をお渡しいただくこともあります。そうするとお祝いの場で送られた方の人生の振り返りができ、ぐっと話の内容が深いものになりますので、特に印象的なイベントになるようです。
長寿祝いによって異なる、自分史での人生の振り返り方
親の雑誌を作っていて感じるのは、親御さんの年齢によって人生の振り返り方が変わってくるという事です。自分史に書かれる事実自体は大きく変わらなくても、重点をおいて話したいことや、昔についての評価や感想が変わるなあ、という印象をもちます。今回は、それぞれの年代でどのような振り返り方になるのか、感じたことを書いてみたいと思います。
還暦の方が自分史で語ること
還暦の方が自分史を書く、あるいはインタビューを受けて半生を振り返った時に、どのようなことをお話されるか。還暦というと60歳ですが、特に今の日本で還暦は、まだまだお若いですよね。高齢者という定義にも入っていません。ですから、一生を締めくくって振り返るというよりは、ちょっと中休みをするという振り返り方になります。これからに向けて、今までを整理するというイメージですね。
よくあるのは、例えばお子さんが実家を出られて少したったところだったり、ご結婚をされたりと親離れ・子離れをしているタイミングでもあるので、家族観や、子育てについての思いをお話になるケース。
また定年退職のタイミングが見えてきたり、還暦を少し過ぎる場合もありますが退職祝いなど、退職に関連して仕事を振り返ることも多くあります。この場合、まだ仕事を辞めて間もない頃ですから、かなりリアルに、現場感のあるお話をしていただけます。後で振り返って読んでみると、働いている時の手触り感がよく残っていると思えるのではないでしょうか。具体的なお話がしっかりと聞けて価値を感じますし、私たちも学ばされることが多くあります。
古希の方が自分史で語ること
古希の方が自分史を書く、あるいはインタビューを受けて半生を振り返った時に、どのようなことをお話されるか。古希は70歳。古来より「まれ」であることから古希(古稀)というそうですが、今は70歳を迎えること自体は珍しいとはいえませんよね。それでも、古希の方は還暦の方と違って、現役から退く方が多くなっていたり、現役だったとしても全力で打ち込むというよりは、少し生活にゆとりを持たせたり、後輩へ引き継ぐことを考えながら働かれている方が多いのかな、という印象を受けます。一方で、まだまだ身体的にお元気な方が多く、趣味や地域活動に打ち込んだり、勉強をされている方も多いのが、古希の特徴かな、と思います。
自分史を作る際にも、今までの仕事や子育てのことは一区切りがついて、これから自分の趣味ややりたいことをしたい、という希望にあふれているのが特徴です。健康であることのあり難さをお話される方や、夫婦で旅行するのが楽しみだ、とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。自分の人生を振り返っても、達成感や、十分にやった、というコメントを多くいただけるのが特徴かなと思います。ちょうど、今までとこれからのバランスが取れている年代といえるかもしれません。
喜寿・傘寿の方が自分史で語ること
喜寿は77歳。傘寿は80歳ですね。いわゆる後期高齢者という定義が適用されはじめる年齢です。喜寿は、喜ぶを草書体であると七が3つ並ぶから、ということ、ラッキーセブンからの連想で印象的なのか、特にお祝いされる方が多い印象です。
さて、この年代になってくると、徐々にできることの範囲に限界ができてくるので、新しいことを始めたり、海外旅行にどんどん行ったり、というのは徐々に少数派になってくるようです。精神的にもこれから新しいことを前向きに、というよりは、今の生活を楽しんで、ゆっくりしたい、というお話をされる方が多いです。
また、お話の目線が、自分の暮らしから、子どもや孫のことに行くことが多いようにも感じます。子どもがこれから活躍することに期待したい、あるいは孫の成長が楽しみ、といったコメントが多く出てくるのが、この年代くらいからでしょうか。孫も今まではただかわいいだけの存在だったのが、大学に入ったりや社会に出たり、と状況が変わってくるため、応援したい気持ちが出てくるようです。
米寿、卒寿の方が自分史で語ること
米寿は88歳。卒寿は90歳ですね。米という時が八十八でできるから、というので印象的なためか、また傘寿から数えても8年空いているので、お祝いされる方が多い印象です。88歳になると、生活にだいぶ変化が生まれてきていて、このお年になると、健康や体力面で全く不安がない方というのはそれほど多くなく、どこかしら不安や不便を持っている方がいいのですが、だからこそこうして生活ができることに満足されている方が多いように感じます。日々暮らしていることそれ自体に、あり難いとおっしゃっている方が多いのが驚かされます。
この年代になると、自分史で語ることも、「自分がなにをしてきたか」や「どれほど努力したか」というよりも、今の環境や家族に恵まれたことにありがたい、とおっしゃる方が多いように思います。この年代の方だと戦争を経験させてている為、特にそうした今の環境に対する感謝を感じられているのかもしれません。
私たちも戦争がいかに人を不幸にするのか、を改めて学ばなければならないと毎回、考えさせられます。
米寿の方向けには米寿セットもございますのでご検討ください!
白寿・百寿の方が自分史で語ること
白寿は99歳、百寿は百歳(百寿はせっかくだからもっと工夫すればいいのに・・・そのまんまじゃないですか)ですね。この年になってもお元気な方は本当に元気ですが、現役同然にバリバリという方はさすがに少なくなってきます(それでもいないわけではないので、本当にすごいなと思います)。お話しぶりも、とうとうと語るというより、ぽつぽつと語る、という雰囲気です。特に感じるのは、謙虚さ、という事。もはや、ただ今、いるだけで楽しい、あり難いということを強調される方が多くいらっしゃいます。
それから、特徴的なのは特に小さかった頃の故郷の思い出や、学校を出るころまでの思い出、両親や兄弟のお話の割合が高くなっていくことでしょうか。年を取ると昔のことを思い出すとはよく言いますが、本当にそうなのだなあと実感します。
この年齢の方々だと、お話自体も私たちの知らないことや戦争体験があり貴重ですし、人生の振り返り方が本当に素敵で、できることなら自分もこうやって人生を振り返られるまで生き、また振り替えられるように成長しなければならないなと、お手本を見させていただいた気分で帰路につくことが多いです。
まとめ:各世代で作る自分史の意味
そんなわけで、なんとなく世代ごとに、作る自分史の意味合いや語る内容が変わるという事がお分かりいただけたと思います。
ここで申し上げたいのは、自分史を作る一番いいタイミングがあるわけではなく、その年代ごとにいい味があるという事。60、70代ですと元気で前向きなお話が大変多く、また実践的だったり学びに直結するお話をたくさんお聞きできます。80代になると家族や配偶者の方へのあたたかいメッセージや、これからに向けて伝えるお話を受け取れるため、大変思い出深い1冊ができるかと思います。90を超えた方の言葉は、多くはないですが重みと温かみがあり、1行1行が味わい深いなといつも感動させられます。実は10年ごとくらいのタイミングで見直したり、付け加えたりすると一番いいものができるのかもしれません。
やはり、思い立った時に作っていただくのが一番いいのかな、と思います。逆に、もっと後に・・・と考えてタイミングを逃してしまうと、できるものができなくなってしまうので、その点は本当に要注意です。
おまけ:ご夫婦におすすめは「金婚式」記念での自分史作成
ご夫婦がご健在の場合、一番喜んでいただけるタイミングはやはり「金婚式」だと思います。50年結婚生活を続ける、やっぱり素晴らしいことですし、お互いがお互いをどう考えているかをお聞きするいいタイミングでもあります。また身内であると逆に聞きづらいということもありますから、私たちのようなサービスを使っていただく意義もあるのかなと感じています。ご夫婦向けには「両親の雑誌」という特別プランがございますので、ご興味あるかたはご検討ください。
株式会社こころみ 代表取締役 神山晃男