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THE大岩律子

平成29年9月発行 / 千葉県在住・大正14年生まれ

一生涯の広がりになっていく

 俳句はもう、50年前くらい前からやってますね。俳句のいいところは、どなたにもご迷惑かけずにできること。あとは、景色を見れば、すぐ頭に俳句が浮かぶし、新聞を見れば、今日は何月の半ばだからもうじき何々の時期だとか、いろいろ考えることですかね。自分で言うのもあれですけど、いい趣味だと思いますよ。

 年に1回大会があるんですよ。そのほかに所属している会の本も出てますし、いろんなことが楽しめるんです。私なんか会社に勤めてるわけでもないから、誰かにおべっかを使う必要もないし、どこにも依存とか所属とかしてないけど、いい句ができるとこんなうれしいことはないです。だからずっと続けていられて良かったなって思いますね。若い方たちにも今からやって長く続ければ先生にだってなれるんだからって、薦めるんだけど、なかなかね。俳句って言うとみなさん、高尚な印象があるらしくって、なかなかやるわって言う人いません。でも、薦められてやるようなものでもないですけどね。

 季節ごとに詠んだ歌をメモしとくとか、どういう理由で作ったのかとかを記録していれば、広がりはいくらでもできるんです。五・七・五の言葉なんだけども、これが一生涯の広がりになっていくこともありますね。だから、短歌でもいいですけど、私は自分がやってるからってのもありますけど、俳句が一番いいんじゃないかと思ってます。詠むっていうより、自分で感じたことを何でもいいから帳面に書いておくことですよ。俳句をやらなくても今日の太陽は何時くらいに沈んで、真っ赤できれいだったとか、富士山の真ん中をカラスが3羽飛んで行って、広い空に消えていったとか、そんなのがきりなくあるんです。見たことを帳面に書いておけば、それがいつか自分で俳句を作りたいときに役に立ちますからね。

 俳句の先生で尊敬する方はたくさんいますけど、タイプが違いますからね。この先生素敵だなって思っても、ほかの先生の手前もあるし、流儀が違えばあんまり出入りはできません。俳句って静かで優しいんですけど、やっぱり、人の妬みや僻みたいなものがあるんですね。私なんか普通の人間ですからいいですけど、やっぱり上の方たちは、いろいろ気をもむことがあるみたいですよ。私はそんなこと関係ないから、自分の思うことを発表して、みなさんの評価をいただくんですよ。どこどこで大会があるとか、所属している会があれば、どんどん出して、先生にいい評価をしてもらえたらこんなうれしいことないですよ。歌を作ってお金もらうとかじゃなくて、自分だけで楽しめるのがいいですね。大会で賞ももらいましたけど、それは一生の宝物ですね。日本を代表するような方から表彰されたことはね。

常にいいことに目を向ける

 ごくごく普通ですけど、一生懸命生きてきてるって感じがしますよ。娘はバレエを教えてまして、一般の方に普及するために、12月に発表会をやってます。そうすると、関係ない人も何かのご縁で見に来て下さって、だんだんと知っていただくことができるんですよ。おかげさまで何とかやっているようです。

 バレエの衣装は作るのが大変なんです。売ってるわけじゃないですから。自分で振り付けしてますから、着るものとか、小道具も自分で考えて作り出さないといけません。もちろん、売ってるものもありますから、そういうのを使えばある程度は何とかなりますけど、ないものもたくさんありますから自分で作らないといけないんですよ。自分で一生懸命考えて、無理なものは頼むし、自分で作れるものは作ります。それで舞台が華やかになってみなさんに喜んでいただければ最高ですよね。これもひとつの人間の生き方としては、幸せなんじゃないでしょうか。

 親子ですからね、いいときもあれば、悔しいと思ったこともあったかもしれないけど、忘れちゃいますよね。それだから家族仲良くしていられるんじゃないですか。他人だと一生恨むんですよ、不思議とね。だから一緒にいてくれて、こんなふうに思っててくれたんだとか、改めて知ることもありますよね。そういう点ではお互いに思いやりがあれば仲良くやっていけますよね。私も90過ぎましたから、この世にいない人のほうが多いんです。だけどおかげさまで娘が様子を見に来てくれますから安心できます。

 今、娘の部屋にいるんだけど、高いところにあるんですね、今日はいいお天気で雲ひとつないし、風もなくて、木更津の街全体から、その向こうの山々まで見渡せるから、今日一日幸せに暮らせるなって思ってたところです。世の中は恨んで暮らしたらきりがないでしょう。だから、常にいいことに目を向けるとそれがいいことにつながりますからね。そういうことじゃないですか。私なんかごく普通のおばあさんですから、立派な信念を持ってるわけじゃないし、ただ何となく生きてるだけですけどね。

 旅行は若いときはヨーロッパとかアメリカとか行きましたけど、イタリアは治安が悪くて危ないって言われたんでのぞきもしませんでした。ほかはしばらく滞在して楽しんだところもあります。日本は外見をすごく気にしますけど、向こうはそんなことないですから、ものすごく気楽でしたよ。そういうことが心に残ってますね。でも、私は日本人ですからよその国へ行って、「あの日本人、あんなことしてるわ」って言われないように気を付けてました。大げさに言えば、日本を代表して行ってるわけですから、身なりをきちんとして、行儀よく、言葉遣いも丁寧にして、人に見られても、恥ずかしくないようにしようと気を付けていましたね。

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