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THE三浦十美雄

平成29年11月発行 / 神奈川県在住・昭和16年生まれ

全部が良くなってしまうんだな

 一番最初に尊敬したのは干川先生ね。この先生にものすごく惹かれましてね。人間魚雷で出撃の日に終戦になって助かった人です。この方が中学校の担任になったんです。この先生があだ名が「ジンセイ」の人で、中国の唐詩を暗記させた人です。根本になるのは唐時代の世界、杜甫とか李白の世界ですね。そういう世界が僕の基本的なところにはあるな。李白とか杜甫の世界はものすごく影響を受けたと思うよ。

 高校の先生で利根川先生に出会って、小林秀雄の本にのめりこんだよな。そのへんから日本の人はまじに読んでないんだよな。おやじが死んで親鸞に傾倒してからは読んでる。法然・親鸞の世界ね。僕は法然・親鸞の2人を大切にするんです。宗派にとらわれないっていうかな。途中でキリスト教に浮気したような形になったけど、かなり西洋の考え方が分かったな。

 僕は見方は狭いと思うよ。小説家で好きな人は、すごい人は好きじゃない。いわゆる大作は読んでなくてね。その人の本は全部読んじゃうのが好きなんだよね。一番読んだのが山口瞳かな。この人の本が泣けてくるんだ。太宰治も読んだしね。高校から大学時代は中原中也ね。小林秀雄と三角関係で。どっぷりと浸かったことがあるね。大学時代、ボストンバックに中原中也の全集を入れてたら、大内先生に「ばか者、そういうのは家で正座して読むものだ」と言われたな。早稲田は活字人間だよね。サラリーマンになってからも読んでるけど、トィンビーを大学時代に一番読んだね。1つのものにこだわるんだよ。こだわりはあるんだけどコロッと変わっちゃうんだ。こだわりと恬淡が同居しているような感じっていうかな。

 最近は塩野七生を読んでるよ。ベストセラーは関係ない。自分がその人のものの考え方に興味を持って深みにはまっていく。そうなってくるとね、何が悪いとか良いとかじゃなくてみんな良くなってくる。全部が良くなってしまうんだな。社会的な不幸があっても悪く評価しないしね。そのへんは自分でも整理がつかないな。その人が好きになってしまう。じゃあ僕はどういう男なのってことは考えたことない。仕事でも左遷されたりするでしょう。それもあんまり気になんなかったね。不幸だとも思わなかったし、落ち込まないよね。いい加減だったんじゃないかな。

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