取材担当者が自分の『両親の雑誌』を制作しました【第2回/全3回】
カテゴリー:ブログ
投稿日:2024年06月19日(最終更新:2024年06月19)
親御様が取材担当者と話をするだけで、文章が完成する『親の雑誌』。「傾聴をベースにした独自方法論」を身につけた取材担当者がお一人おひとりのお話をお伺いします。そんな取材担当者の1人が自身の『両親の雑誌』を制作しました。なぜ制作しようと思ったのか、取材や雑誌完成後に感じたことなどをまとめてもらいました。
私は、2017年から『親の雑誌』の取材に携わっています。担当する取材の回数が増えるごとに、だんだんと、自分の『親の雑誌』を作りたいという気持ちが芽生えてきました。そして2023年、実際に『両親の雑誌』を制作しました。今回はその時のことを思い出しながら、利用者の立場から『親の雑誌』を作る中で感じたことを3回に分けてご紹介させていただきます。
目次
<取材担当者が自分の『両親の雑誌』を制作しました>
第1回: 『両親の雑誌』を作ろう!公開中
第2回:事前準備と取材のこと←今回はここ
第3回:原稿確認と完成後のこと
■事前準備
『親の雑誌』の取材に携わっていると、多くの方が、「掲載する写真を選ぶのが大変だった」とおっしゃいます。けれど同じくらい、「親子で一緒に写真を選ぶのは楽しかった」という声もお聞きします。私の場合は、両親が遠方に住んでいたため、一緒に写真を選ぶことができなかったことが少し残念でした。
写真を選定したのは、主に父です。几帳面な父は、まず自分の持っていた昔の写真を、スマホアプリでデータ化するところから始めました。母の場合は写真が手元になかったので、取り壊す予定だった母の実家に、写真を取りに行くところからスタートしました。母の写真が手元に来ると、そのデータ化と整理も父がやってくれたそうです。
意外だったのは、父が写真選びとデータ化を積極的にやってくれたことです。きっととても大変だったと思うのですが、父からそういったことは少しも言われませんでした。あとで聞いてみると、「写真の整理ができてよかった」と思ったようです。年表やプロフィールの入力も、父が母の分もやってくれました。事前準備は、母1人だったら、なかなか終わらなかったかもしれません。
あとで、「写真の整理をしながら何かお父さんと話したりしたの?」と母に聞いてみたことがあります。そうしたら、結婚前の自分たちについてあれこれ話をしたのだとか。結婚後の思い出ではなく、出会う前の話をしたのだな、となんだか面白く思いました。
■取材当日
両親は広島、私は東京に住んでいます。両親はしばらく東京に遊びに来ていなかったこともあり、取材を口実に2人で東京に遊びに来てもらうことにしました。取材場所は都内の私の自宅にして、7月の暑い日に、いよいよ取材の日を迎えたのです。
『親の雑誌』の取材は、基本的に2人で行います。1人は取材相手に質問をするインタビュアーで、もう1人は取材内容を書きとめていくライターをイメージしていただくとよいかと思います。わが家での取材は、ダイニングテーブルで行いました。取材を受ける父か母の正面に、こころみから来た取材担当者2人に座ってもらいました。
母の取材中、父は近くのソファで新聞を読んでいましたが、父の取材時の母は「聞いたら口を出しちゃうから」と席を外していました。2人の性格の違いがよく出たようです。私は2人の取材中、やはり近くのソファに座って取材の様子を見ていましたが、そういう形で同席してよかったと思いました。それは取材を受けている両親の表情を、側(そば)で見ることができたからです。この時同席していたおかげで、雑誌完成後も、取材を受けている両親の笑顔をイメージしながら中身を読むことができたのだと思います。
私は『親の雑誌』の取材に携わっているので、どんなふうにインタビューを進めたらいいかをわかっています。けれどやはり、自身の『両親の雑誌』は、第三者に依頼しないとできないな、というのがこの時の正直な感想でした。
それは、取材を受ける両親の心構えがまったく変わってくるからです。以前私は両親のなれそめを聞いたことがあるのですが、両親も思い出すままに話すので、誰のことなのかや、時系列がわからなくなり途中で聞くのをやめてしまったのです。けれど第三者に聞いてもらう環境を作ることで、両親も、「自分のことを知らない第三者にわかるように話そう」という心構えを持って、なるべくわかりやすく話すようにしているなと感じました。もちろん、思い出しながら話しているのは変わらないのですが、子どもに話すのと、第三者に話すのとでは違うのだなと実感したのです。
■表紙写真撮影
取材の後は、私の自宅近くの公園で表紙写真の撮影を行いました。けれど結果的に、表紙写真は私が広島へ帰った時に、私が撮影したものを使ってもらうことにしました。父は、父の好きなヨットの前で、母は、母の好きな家のベランダからの景色をバックにして写真を撮影しました。表紙にも父と母らしさをだしたいと思ったからです(通常の訪問取材は、親御様のご自宅で行うため、親御様のお家の前やお庭で撮影しています)。
表紙写真は、私が撮った大量の写真を父と母に見てもらって、どれを表紙にするか3人で相談して決めました。父は、自分の表紙写真はきりっとした顔をしているものがいいと思ったようでしたが、母と私に「この笑顔全開の写真がいいね」と言われて「じゃあそれにしようかな」と言いました。そんな父は、母の写真選定に何も口を出してきませんでした。母がいいと思うものがいい、ということだと思います。表紙写真の選定は、そんな2人の関係性を改めて認識できた楽しい時間でもありました。
第3回へ続く…
「両親の雑誌」のご紹介
このブログを書いた取材担当者が作ったのは「両親の雑誌」です。お父様、お母様それぞれの自分史を作成できる特別パッケージをご用意しております。ご両親が一緒に歩んでこられた道のりを家族で振り返り、雑誌としてまとめることができます。長年一緒に歩んできた親御さんであっても、幼少期や学生時代の思い出、結婚までの歩み、仕事や人生への考え方、家族への思いはそれぞれです。これまでに制作されたお客様からは「両親のお互いへの気持ちを知ることができた」「親になる前のことを知れた」「出会いについて初めて知った」などの感想をいただいています。
お手元でいつでも読み返せる「両親の雑誌」をご家族の皆様で制作されてみてはいかがでしょうか。