「東京タワー」東京のシンボルにまつわる遍歴と人の思い
カテゴリー:ブログ
投稿日:2021年12月15日(最終更新:2021年12月15)
◼️ 東京タワーとライトアップ
寒さ増すほどに空気が澄んでいく冬はライトアップがきれいな季節です。
東京のシンボル「東京タワー」にも、暖かみのあるオレンジの光が煌めいています。
1958年(昭和33年)12月23日、東京のシンボルであり観光名所でもある東京タワーが竣工しました。現在のような夜間のライトアップが正式に始まったのは、1989年(平成元年)1月9日からです。
それ以前は電球によるイルミネーションが施され、塔の稜線(りょうせん)に沿って電球がポツポツと取り付けられていました。電球がところどころ切れている箇所もあった寂しいものでした。
平成元年1月、東京タワーは世界的な照明デザイナーの石井幹子氏によって生まれ変わりました。年号が平成に改まるとともに夜空を見上げた人々は、輝く東京タワーに驚いたそうです。それは、新しい時代の幕開けでした。
夜空に浮かぶオレンジと白のコントラストは、たとえ訪れたことがなくてもその存在を知らない者はいない、東京で、そして日本で一番有名な建造物のひとつといえるのではないでしょうか。
◼️ 東京タワーとそれぞれの物語
東京タワーにまつわる思い出は、時代や背景を含めて、人によってそれぞれです。
私が6,7歳のころ、父母、弟と私で一緒に東京タワーに行った記憶があります。家族で一緒に訪れたのはその1回だけでしたが、なぜか今でも幼少期の温かい思い出として心に残っています。そこで書いてもらった家族4人の似顔絵が、長い間家のリビングに飾ってあったからかもしれません。
それから20数年が経ち、今度は私が娘を連れて東京タワーを訪れるようになりました。展望台からの景色を一緒に眺めたり、私が子供のころにはなかったライトアップ中の東京タワーをバックにはしゃぐ娘を写真に収めたりもしました。
そして、今、SNSやブログにはいろいろな角度から撮影された東京タワーや、そこを訪れた人たちの思い出であふれています。江國香織の「東京タワー」や「ALWAYS 三丁目の夕日」のような小説や映画の中だけでなく、多くの人が東京タワーに魅了され、それぞれの物語をもっている、そんな気がします。
なぜなのでしょうか?
◼️ 東京タワーとシンボル性
2021年夏に開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、東京タワーが五色幔幕にライトアップされ、世界中から集まるアスリートを応援する気持ちが表されました。
また、2020年4月には、新型コロナウイルスの対応に追われる医療従事者などへの感謝の気持ちを表すために青色にライトアップされました。
東京タワーは、東京からメッセージを発信する象徴・シンボルとなりました。
社会学者の加藤秀俊氏は、都市のシンボルについて次のように表現しています。「何のためにシンボルをつくるのか…その答えは、ひとことでいえば、それぞれの都市に住む市民たちがそのシンボルによって誇りをもつことができるからである。」
東京タワーは、私たちの連帯を深める機能をはたし、共通にわかち合うことのできる価値を提供し、60年以上にわたり都市の統合機能という役目を果たしてきたのかもしれません。
これからも東京タワーにまつわるひとりひとりの物語が作られていく、そして東京タワーは引き続き私たちを照らしてくれる…紺色の空に煌めく東京のシンボルを見て、温かい気持ちになった冬の夜でした。
みなさんがお住まいの地域にはどんなシンボルがありますか?
ご家族でそのシンボルに訪れるのもいい思い出になるかもしれません。
「親の雑誌 電子版」は、家族のための自分史作成サービス「親の雑誌」から生まれた、人々の人生を綴ったデジタルメディアです。
全ての人にはかけがえのない価値があり、その人が歩んできた人生は、たくさんの出会いで誰かの人生とつながり、この時代を織りなしています。
お一人お一人が生きてきた人生に、ぜひふれてみてください。